結論:副業の雑所得で取引が少ないなら、会計ソフトは不要なことが多い
「副業を始めたけど、確定申告のために会計ソフトを買わなきゃいけないの?」——副業1年目でこの疑問を持つ人は多い。
結論から言うと、副業の収入を雑所得として申告するなら、有料の会計ソフトは必須ではない。エクセルどころか、手書きのメモでも帳簿として成り立つケースがある。
ただし、これには条件がある。「不要」と言い切れるのは以下に当てはまる場合。
- 副業の収入を雑所得として申告する(事業所得ではない)
- 月の取引件数が10件以下
- 経費の種類がシンプル(通信費、消耗品費など2〜3科目程度)
逆に、副業を事業所得として申告する場合や、青色申告で65万控除を受けたい場合は、会計ソフトの導入を検討した方がいい。このあたりの境界線を整理していく。
なぜ雑所得なら会計ソフトが不要なのか
雑所得の記帳義務は限定的
個人事業主として事業所得を申告する場合、白色申告でも青色申告でも帳簿の作成・保存が義務づけられている。しかし、雑所得の場合は事業所得のような帳簿作成の義務がない。前々年の雑所得の収入金額が300万円を超える場合にのみ、現金預金取引等関係書類の保存が必要になるが、副業1年目や収入が少ないうちは該当しないケースがほとんど。
もちろん、義務がなくても収支を記録しておくことは大切。ただ、それは会計ソフトでなくても、エクセルや手書きのノートで十分対応できる。
確定申告書は国税庁のサイトで作れる
「会計ソフトがないと確定申告書が作れないのでは?」と思うかもしれないが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、会計ソフトなしで確定申告書を作成・提出できる。
副業の雑所得を申告する場合、必要な情報は主にこの3つ。
- 本業の源泉徴収票(会社からもらう)
- 副業の年間収入額
- 副業にかかった経費の合計額
これらの数字を確定申告書等作成コーナーに入力していけば、確定申告書が自動で作成される。e-Taxで電子申告すれば、税務署に行く必要もない。
副業の取引が月数件程度なら、年間の収入と経費をエクセルで集計して、その数字を作成コーナーに手入力するだけ。30分もかからない。
会計ソフトなしで副業の確定申告を完走する手順
「会計ソフト不要」と言われても、具体的にどうやるのかイメージが湧かない人のために、手順をまとめておく。
1. 年間を通して収支を記録する
エクセルやスプレッドシートで、副業の収入と経費を月ごとに記録しておく。最低限必要な項目は「日付」「内容」「収入 or 経費」「金額」の4つ。勘定科目は「通信費」「消耗品費」程度で十分。
副業の種類によるが、クラウドソーシングやブログ収入なら、売上の入金記録はプラットフォームの管理画面でダウンロードできる。経費はレシートを月別にまとめておけばいい。
2. 年末に収入と経費を集計する
12月が終わったら、年間の収入合計と経費合計を出す。雑所得の場合は単式簿記(収入ー経費=所得)で計算するだけなので、SUM関数で十分。
3. 確定申告書等作成コーナーで申告書を作成
国税庁のウェブサイトで「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、画面の指示に従って入力していく。
- まず源泉徴収票の情報を入力(本業の給与所得)
- 次に「雑所得」の欄に副業の収入と経費を入力
- 医療費控除やふるさと納税などがあればそれも入力
- 最後に確定申告書のPDFが自動生成される
e-Taxで電子申告するか、PDFを印刷して郵送すれば完了。
会計ソフトを導入した方がいいケース
ここまで「不要」と言ってきたが、以下に当てはまるなら会計ソフトの導入を検討した方がいい。
副業を事業所得として申告する場合
事業所得として申告するなら、帳簿の作成・保存が義務。特に青色申告で65万控除を受けるには複式簿記が必要になるので、エクセルでは現実的に厳しい。この場合は会計ソフトの出番。
ただし、「副業の収入を事業所得にするか雑所得にするか」の判断は明確な基準がない。国税庁は「帳簿をきっちりつけていれば一般的に事業所得に該当することが多い」としているが、最終的には個別の判断になる。迷う場合は税理士や税務署に相談してほしい。
月の取引が20件を超えてきた場合
副業が軌道に乗って取引件数が増えると、エクセル管理では入力ミスや集計ミスのリスクが高くなる。口座連携で自動取り込みしてくれる会計ソフトの恩恵が大きくなるのは、このあたりから。
エクセル帳簿が限界に来ているかどうかは、こちらのセルフチェックで判断できる。
インボイス登録をする場合
副業先からインボイスの発行を求められた場合、消費税の申告が必要になる。消費税の計算を手動でやるのは現実的ではないので、会計ソフトが事実上必須。
副業で会計ソフトを使うなら、最安の選び方
「やっぱり会計ソフトを使った方がよさそうだ」と判断した場合の、最安ルートを整理しておく。
白色申告で仕訳が少ない → 弥生フリープラン(0円)
やよいの白色申告オンラインのフリープランは、機能制限なし・永年無料。帳簿付けから確定申告書の作成・電子申告まで全部0円でできる。副業の白色申告なら、これが最もコスパが良い。
青色申告で65万控除を狙う → freeeかMFを1ヶ月だけ
副業を事業所得として青色申告する場合は、freeeスターター(月払い1,480円)やMFパーソナルミニ(月払い1,280円)を確定申告の時期だけ1ヶ月契約する方法がある。年間契約する必要はない。
3社の最安ルートの詳細は、こちらの記事にまとめている。
よくある疑問
副業の所得が20万円以下なら確定申告しなくていい?
所得税に関しては、給与所得者で副業の所得が年間20万円以下なら確定申告は不要とされている。ただし、住民税の申告は必要。所得税の確定申告をしない場合、住民税は市区町村に別途申告する必要がある。「20万以下だから何もしなくていい」は誤り。詳細は住所地の市区町村の窓口に確認してほしい。
副業が会社にバレないようにするには?
確定申告の際に、住民税の徴収方法を「特別徴収(給与から天引き)」ではなく「普通徴収(自分で納付)」にする方法が知られている。ただし、自治体によっては普通徴収を選べない場合もある。この点は確定申告書の「住民税に関する事項」欄で選択できるが、確実にバレないことを保証するものではない。心配な場合は税理士に相談してほしい。
副業でも青色申告はできる?
副業の収入を「事業所得」として申告する場合は、青色申告が可能。ただし、事前に所轄税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要がある。雑所得として申告する場合は青色申告は使えない。事業所得と雑所得のどちらで申告すべきかの判断は個別の状況による。税務署や税理士に相談するのが確実。
まとめ:副業の規模に合ったツールを選ぶ
- 雑所得で取引が少ない → 会計ソフト不要。エクセル+確定申告書等作成コーナーで十分
- 白色申告で少し楽をしたい → やよいの白色申告オンライン フリープラン(0円)
- 事業所得で青色申告 → freeeかMFを確定申告の時だけ1ヶ月契約
大事なのは、「副業だから会計ソフトを買わなきゃ」と焦る必要はないということ。副業の規模が小さいうちは、無料ツールや手入力で十分に回る。規模が大きくなって管理が追いつかなくなったら、その時に導入を検討すればいい。
個人事業主として本格的に確定申告をする場合の判断基準は、こちらの記事で整理している。
この記事の情報について
この記事は、筆者(中村恒一)が個人事業主として会計ソフトを利用・比較した体験をもとに書いています。税務アドバイスを目的としたものではありません。税制度や控除に関する判断は、必ず税理士や税務署にご確認ください。
記事内の料金・機能情報は2026年3月時点のものです。最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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