結論:白色申告で仕訳が少ないなら、有料の会計ソフトは不要なケースもある
「白色申告なのに有料の会計ソフトを入れる必要あるのか?」——僕も開業1年目にまったく同じ疑問を持っていた。
結論から言うと、白色申告で仕訳件数が少ないなら、有料の会計ソフトは必須ではない。ただし、「不要」と言い切れるのは条件付き。
白色申告は単式簿記(いわゆる家計簿に近い形式)でOKとされている。複式簿記が必要な青色申告と比べて、帳簿の作り方がシンプルなので、エクセルでも帳簿として成立する。
では、具体的にどんな人がエクセルで十分で、どんな人が会計ソフトを使った方がいいのか。自分の状況に当てはめてみてほしい。
エクセルで十分な人の条件
以下の3つに当てはまるなら、エクセルだけで白色申告を乗り切れる可能性が高い。
- 月の取引件数が10件以下 — 副業レベルの収入で、売上と経費がシンプル
- 現金取引中心で口座連携が不要 — 銀行口座やクレカの自動取り込みがなくても困らない
- 確定申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で手入力できる — 会計ソフトから直接電子申告しなくても、国税庁のサイトで数字を入力すれば提出できる
僕の1年目がまさにこのパターンだった。エクセルで月ごとに収入と経費を記録して、確定申告の時は国税庁のサイトに数字を手入力。手間はかかったけど、なんとかなった。
ただし、2年目以降に取引が増えてくると話が変わってくる。エクセル帳簿に限界を感じ始めたら、こちらのセルフチェックで判断してみてほしい。
会計ソフトなしで白色申告を完走する手順
「エクセルで十分」と判断した人のために、実際の確定申告の流れを簡潔にまとめておく。
1. エクセルで1年分の収支を記録
月ごとに「日付」「内容」「収入」「経費」「勘定科目」を記録しておく。白色申告の帳簿は単式簿記でOKなので、複式簿記のように借方・貸方を分ける必要はない。家計簿のように「何にいくら使ったか」を記録するイメージ。
2. 年間の収入と経費を集計
1年分の収入合計と経費合計をSUM関数で出す。経費は勘定科目ごとに合計を出しておく(通信費○円、消耗品費○円、など)。この数字が確定申告書に記入する元データになる。
3. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」に手入力
国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」で、エクセルで集計した数字を手入力する。画面の指示に従って入力していけば、確定申告書と収支内訳書が自動で作成される。源泉徴収票がある場合はその情報も入力。入力が終わったら、そのままe-Taxで電子申告するか、印刷して郵送。
僕は1年目にこの方法で確定申告を完了した。集計済みの数字を入力するだけなので、作成コーナーでの作業自体は30分もかからなかった。時間がかかるのは、エクセルでの集計と確認の方。
無料の会計ソフトで十分な人の条件
エクセルは手間だけど、有料の会計ソフトにお金を払うほどでもない——そういう場合は、無料の会計ソフトを使うのが最適解。
やよいの白色申告オンライン フリープランが最有力
白色申告に限定すれば、やよいの白色申告オンラインのフリープランが最強。理由はシンプルで、機能制限なし・永年無料だから。
有料プランとまったく同じ機能が使える。帳簿付けから確定申告書の作成・電子申告まで、全部0円。唯一の制限はサポート(電話・メール・チャット)がないことだけ。ヘルプページは見られるので、自分で調べられる人なら問題ない。
弥生フリープランの使用感
僕は弥生のフリープランも実際に触ってみた。正直な感想として、操作画面がシンプルで、freeeより迷うことが少ない。白色申告専用なので、青色申告に関する余計な設定項目がなく、必要な機能だけが並んでいる。
仕訳入力の画面は、日付・勘定科目・金額・摘要を入力するだけのシンプルな構成。freeeのように自動仕訳の学習機能は弱めだが、白色申告で月の取引が少ないなら、手入力で十分に回る。確定申告書の作成画面も、入力したデータが自動で反映されるので、ボタンを押していくだけで収支内訳書と確定申告書が完成する。
freee無料プランの罠
一方、freeeの無料プラン(プラン未契約)は注意が必要。仕訳の入力はできるが、確定申告書の出力・印刷・電子申告ができない。つまり、確定申告を完結させるには結局課金が必要になる。
freee無料プランの制限についてはこちらの記事で詳しくまとめている。
有料の会計ソフトに切り替えるべきタイミング
白色申告で無料ツールを使っていても、いずれ切り替えを検討する時期が来る。タイミングは大きく3つ。
白色申告から青色申告に切り替えるとき
青色申告の65万円控除(正式には「青色申告特別控除」)を受けるには、複式簿記での帳簿付けと電子申告が必要とされている。エクセルでの複式簿記は現実的ではないので、ここが会計ソフト導入の分かれ目になる。
切り替えの目安として、僕の感覚では売上が安定して200万円を超えてきたあたりから青色65万控除の恩恵を実感しやすくなると思う。ただし、控除の効果は所得額や他の控除との組み合わせで変わるので、あくまで一つの参考程度に考えてほしい。届出は切り替えたい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出する必要がある。適用条件や具体的な効果は個人の所得状況によるので、税理士や税務署に確認してほしい。
青色65万控除による節税効果の目安や、会計ソフトの費用感については、こちらの記事で整理している。
取引件数が増えてエクセルが限界になったとき
事業が成長して取引件数が増えると、エクセル管理では入力ミスや集計ミスのリスクが高くなる。目安として月の取引件数が30件を超えるあたりから、会計ソフトへの移行を検討した方がいい。
自分がエクセルの限界に来ているかどうかは、こちらのセルフチェックで確認できる。
確定申告だけ短期利用したいとき
「年間契約するほどではないが、確定申告の時だけ会計ソフトを使いたい」というケースもある。この場合、freeeやMFを1ヶ月だけ月払いで契約して、確定申告が終わったら解約する方法がある。
3社の最安ルートの比較はこちらの記事にまとめている。
白色申告のまま会計ソフトを使うメリットはあるか
「白色申告だけど、無料の会計ソフトを使ってみようかな」という人のために、メリットも整理しておく。
口座連携による入力の省力化
銀行口座やクレジットカードを連携すると、取引データが自動で取り込まれる。いちいち手入力する必要がなくなるので、入力にかける時間はかなり減る。
レシート撮影で領収書管理
スマホでレシートを撮影するだけで、金額や日付を自動で読み取ってくれる。ただし、freee無料プランではレシート画像のアップロードが月5枚までに制限されている。一方、弥生フリープランにはこの制限がなく、有料プランと同じ機能がすべて使える。
ただし、年1万円払うほどのメリットかは人による
正直なところ、白色申告で月の取引が10件以下なら、有料プランの自動仕訳や口座連携の恩恵はそこまで大きくない。まずは弥生のフリープランで試してみて、物足りなくなったら有料を検討するのが堅実な進め方だと思う。
よくある疑問
白色申告でも口座連携は使える?
使える。弥生フリープランなら、銀行口座やクレジットカードとの連携が無料で利用できる。口座連携を使えば、取引データが自動で取り込まれるので、手入力の手間が大幅に減る。白色申告だからといって口座連携が使えないということはない。
白色申告から青色申告に変更する手続きは?
所轄税務署に「青色申告承認申請書」を提出する。期限は、青色申告を適用したい年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)。申請書の様式は国税庁のウェブサイトからダウンロードできる。手続き自体はシンプルだが、提出期限を過ぎるとその年は青色申告が使えないので注意。詳細な手続きや条件は税務署に確認してほしい。
副業の雑所得でも会計ソフトは要る?
年間数件の取引であれば、会計ソフトは不要。エクセルどころか、手書きのメモでも帳簿として成立する。ただし、副業の規模が大きくなって月に10件以上の取引が発生するようになったら、エクセルか無料の会計ソフトの導入を検討した方がいい。
まとめ:白色申告の会計ソフト選びはこう考える
- 取引が少なくて現金中心 → エクセル+国税庁の確定申告書等作成コーナーで十分
- 少しでも楽をしたい・口座連携を使いたい → やよいの白色申告オンライン フリープラン(0円)
- 青色申告に切り替える予定がある → freeeスターターやMFパーソナルミニを短期利用
大事なのは、「白色申告なのに有料の会計ソフトを買わなきゃ」と焦る必要はないということ。自分の事業の規模と取引件数に合ったツールを選べばいい。まずは0円で始めてみて、足りなくなったら次のステップに進むのが、最もリスクの少ない進め方だと思う。
副業で確定申告をする場合の判断基準は、こちらの記事で整理している。
この記事の情報について
この記事は、筆者(中村恒一)が個人事業主として会計ソフトを利用・比較した体験をもとに書いています。税務アドバイスを目的としたものではありません。税制度や控除に関する判断は、必ず税理士や税務署にご確認ください。
記事内の料金・機能情報は2026年3月時点のものです。最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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